美しい花々が咲き誇るお庭。本日は二週間に一度のペースで行われる私と婚約者の二人だけのお茶会。優雅に紅茶を飲みながら私を見つめてくるのは私の婚約者、アルベール・クールナン様。このセロー王国でも名門に名を連ねるクールナン侯爵家のご令息。しかも跡取りである。

 いつものようにところどころ跳ねた濃い青色の髪。鋭い赤色の瞳は睨まれたらひとたまりもないだろう。……まぁ、私はいつも睨まれているに等しいのだけれど。

「アルベール様。本日は、大切なお話があります」

 私は一度だけ深呼吸をして、アルベール様を見据える。その真っ赤な瞳に見つめられるけれど、胸はときめかない。だって、彼は私を「嫌っている」はずだから。さすがに一年半もこんな風に過ごしていたらわかるのだ。会話もない、表情さえほとんど動かない、それどころか睨まれるように見つめられる。ここまで来たら――さすがに鈍い鈍いと言われる私でも、分かってしまうのだ。

 ――アルベール様は、この婚約が不満なのだと。

「あのですね、アルベール様」

 ――私との婚約を、解消してくださいませ。

 私はアルベール様をまっすぐに見つめながら、そう言った。その際に、アルベール様の真っ赤な瞳が大きく見開かれた。その驚愕に染まったような表情は……ここ一年半婚約者として過ごしてきて初めて見た表情だった――……。

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