「……いや、アルベール様。今までの寡黙な態度は何処に言ったんですか?」
「そんなの貴女との婚約が続行されていずれは夫婦になれるだったら、と捨てました! 貴女の為だったらプライドも捨てます!」
「うん、お願いですから人前でそんなことを簡単に言わないでくださいね」

 アルベール様はこれでも次期侯爵様なのだ。そんな簡単にプライドを捨てるとか言っちゃだめだ。私とは全然重みが違うし。

「シュゼット嬢~~!」

 私のドレスを掴んで私の名前を叫び続けるアルベール様。いや、もういい加減本当にドレスを放してよ……。アルベール様のお力だったら、いつ千切れてもおかしくないんだから。今ドレスが千切れたら私いったいどんな格好をして屋敷に帰ればいいのだろうか?

「わかりました、わかりましたから! お願いですからアルベール様、ドレスを放してください! 千切れますから! ドレスが千切れたら私最悪下着姿で帰らないといけなくなるんですよ」
「千切れたら千切れたで、俺が貴女ために密かに仕立てていたドレスを着てもらうので大丈夫です。衣装室二部屋分のドレスとワンピースを貴女のために仕立てたので」
「それは立派な無駄遣いですね……」

 ヤバイ、この人本当に手遅れだ。こんなところで侯爵家のお金と権力を使わないでほしい。そう思いながら、私はまた空を見上げた。あぁ、空は青いなぁ……って、こんなことを思うよりもこの最悪の現状を回避しなくては。