「い、いや、アルベール様の方が、私との婚約が、嫌なんじゃあ……!」

 苦しい中、私は必死にそんな言葉を紡ぐ。そう、私がここまで追い詰められたのはアルベール様の態度と、アルベール様を慕うご令嬢たちの嫌がらせなのだ。後者はアルベール様ではどうにもならないかもしれないけれど、前者は確実にアルベール様の所為なのだ。百パーセントアルベール様が原因なのだ。

「そんなこと、思ったことありません! 俺はシュゼット嬢が好きです! 俺にはシュゼット嬢しかいないんです! シュゼット嬢を愛しています! だから――」

 ――俺のことを、捨てないでください!

 アルベール様は私の耳元で大音量でそんなことを叫ばれた。……鼓膜が破れるかと思った。まさか、一日で二度もこんなことを思うなんて想像もしていなかった。