拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着愛が重すぎます!~

9.宰相閣下に連れられまして。


「お披露目式典のための事前視察??」

 薄暗い聖堂の中、エリアスの後をついて細い階段をのぼりながら、フィアナはオウム返しに問いかける。すると、エリアスはにこにこと頷いた。

「はい。こちらの聖堂、しばらく修繕工事を行っていましたでしょう? それが、先日ようやく終わりましたので、陛下の名のもとで式典が執り行われるのです」

(そういえば、そんなお知らせが張り出されてあったかも)

 視線を泳がせながら、フィアナは思い出した。たしか街の中央広場の掲示板に、この日は式典のため招待客以外は立ち入り禁止と、でかでかと張り出してあった気がする。

「じゃあ、エリアスさんがさっき警備兵のひとと話していたのって」

「はい。式典当日の警備体制について、警備隊長と確認をしていたのです。王家と所縁の深い聖堂ですので慣れているとはいえ、万が一のことがあってはいけませんから」

「そういうことだったんですね……」

 とりあえず、武装したひとが立てこもっているとか、殺人犯が逃げ込んでいるとか、そういった危険な状況ではないらしい。ほっとして、フィアナは胸をなでおろす。……そんなフィアナの様子に、前をいくエリアスはくすくすと笑いを漏らしていた。
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