今日は彰仁の入学式だ。

 私と綱は生徒会執行役員ということもあり、少し早めに家を出た。

 今年から執行役員のため制服の着用ベストは自由になる。初日の今日は襟もとに白いラインの入った芥子色のVネックのベストだ。ダイヤ柄の網目模様が中央に入っている。お父様からのお祝いである。
 私がベストに入ることが決まった時、白山家は大喜びだった。中等部執行部(ベスト)だった彰仁と私、姉弟二人とも芙蓉学院で生徒会執行部とは白山家にすれば大快挙である。

 ちなみに、ベストへのお祝いだと言って氷川くんからはバナナの織りの入ったベストを、八坂くんからは自分がモデルをしているブランドのベストを貰った。
 執行部のベストは派手でかまわない。逆に他の生徒と違いが分かるように派手目の物を選ぶのが伝統なのだ。権利を得るためには責任をもて、という意味もあるし、生徒会を目指してもらうための仕掛けでもある。

 綱も新しいベストを着ている。これもお父様から送られたものだ。私と色違いのメンズで、白いラインに紺の生地で綱らしい。

 新しいベスト、首元には葵先輩のネクタイ、胸には淡島先輩の芙蓉の花のポケットチーフ。
 背筋がシャンと伸びる。責任と同時にベストになれた自分に誇りを感じる。

 昔は芙蓉会も執行部も面倒としか思えなかったけど、これで少しは綱に釣り合うかしら。

 淡島先輩から、「芙蓉会をよろしく」と渡されたポケットチーフは私に自信を与えてくれた。紫ちゃんのオマケではなく、私が芙蓉会として認められたのだと、淡島先輩からベストを任されたのだと思えるようになったのだ。

 がっかりさせないように頑張らなくてはいけない。

 高校最後の一年、芙蓉会に恥ずかしくない、そして綱に振り向いてもらえるような人間になりたいと思った。