「素晴らしい面接でした。初めて会った時から生駒くんは見所があると思っていたのでね、私も自信をもって推薦しました。さすが白山さんがわが子のように育てたことはありますね」
「すべて綱守の努力が実を結んだのでしょう」

 枡頭取の言葉にお父様は少し嬉しそうだ。

「生駒君の影響か、うちの淑子も京都を受験したいなんて言い出して、まぁ、受かるか受からないかわからないですがね。受かったら京都へやる約束で、心配だから家内が付いていくというんですよ。そうなったら私一人東京で単身赴任状態でね。今から少し寂しいなんて思うんですが、生駒くんはアメリカでしょう? 男の子だから心配はないと思いますが、お互いにさみしくなりますね」

 卒業式ということもあるのか、気分が高揚している様子の枡頭取がそこまで話すと、周囲がザワリと色めきだった。
 生駒と綱が表れたのだ。何の打ち合わせもしていなかったのに、綱も入学式に着たお父様からプレゼントされた同じ形のベストを着ていた。綱はさすがにプレゼントされたものはさすがに小さくなっていて、途中で同じものを買っていたのだ。綱曰くとてもお気に入りなのだそうだ。
 偶然にもおそろいで、ぎゅっと胸が痛くなる。

「では、私はこれで」

 そういうと、枡頭取は綱のほうへ向かっていく。
 綱の周囲には人の輪ができつつあった。
 私はそれを眩しく見つめる。ふと見ればお母様が頬を紅潮させ、呆けた様子で生駒と綱を見ている。