私は目立ちたくないので、開場前にやって来た。本来なら三年生は当日何か手伝うことはないけれど、私は二年生のお手伝いに混ざることにしたのだ。
 今回の立食の食事メニューは白山関連の企業に入ってもらった。ドリンク類は透明なプラスティックのコップで用意し、飲み物も濁りの少ないものを用意する。お酒のない学内のプロムで心配することは特にないのだが、実際の運営をしてみたかったという事情もある。
 写真映えしつつ食べやすいピンチョスやクラッカー、一口で食べられるカラフルなスイーツも用意した。それらを確認して回る。

 入り口に戻ってきて入場の準備を覗いてみる。
 今回は、私の「アンチプロム」の話を面白がった三峯くんと二人でちょっとした悪戯を計画していたのだ。
 そちらがうまくいっているか、ちょっとだけ確認する。

「あ! 姫先輩!」

 二年生の芙蓉会の子たちが声をあげる。
 三峯くんと明香ちゃんも早めに来ていたようで入り口にいた。やっぱり副会長として心配だったのかもしれない。そこには綱も来ていた。
 明香ちゃんは深い緑の生地に同系色の薄い模様の入ったスレンダーシルエットのロングドレスだ。胸を包み込むようなタックが入って立体的になっている。ウエストには白いスズランがあしらわれていて、ドレスがまるでスズランの葉のようで、明香ちゃんはその葉に包まれているようにも見える。
 三峯くんは個性的なスーツだ。ダークグリーンのタータンチェックで、ジャケットはノーカラー。それなのにベストには襟があり、赤い蝶ネクタイをしている。ユニークなデザインで、長身の三峯くんだからモードに着こなせるが多分普通の男の子が着たらお笑い芸人である。生徒会の証のベストも三峯くんはいつも派手だったから、らしいといえばらしいのだが、明香ちゃんにあとで怒られないか心配だ。