「将来的には、表の氷川くん、裏の淡島先輩になるでしょうからね。氷川くんの邪魔者は淡島先輩の愁いでもあるのよ」
「なんておそろしい世界……関わりたくないわ」
 
 ゴクリと唾を飲み込む。 
 一対一の関係以上に親戚関係のしがらみ、未来の損得勘定まであるのだ。そんな計算、私にはとても無理だ。

「でも、逆にお互いに軽率な真似ができないから安全なのよ」

 明香ちゃんは笑う。
 こうやって芙蓉会の中で姻戚関係が自然と結ばれ、互いに互いの行いを律するようになるのだろう。

「とはいっても、そろそろ新しい血が欲しいところでもあるのよね。そうすると、彰仁くんは優良候補なのよ」
「彰仁が?」
「ええ。芙蓉会で中等部のベストの経験があって、島津くんにも信用されていて、カッコイイじゃない?」
「ええー!? カッコイイ?」
「私たちから見ればカワイイかもしれないけど」

 花火を配るテントの中から、花火を振り回す彰仁を見る。
 確かに、周りには女の子たちがたくさんいるが、それは修吾くん効果ではないのだろうか。
 だって、修吾くんたちと男女混合グループではしゃぐ姿はまだまだ子供っぽい。
 二人きりで顔を寄せ合っている男女たちとは対照的過ぎて、今後は智ちゃんの頑張り次第だとは思うが、いつまでも好意を持ってくれるとは限らない。

「まぁ、彰仁には結婚どころか、恋愛だってまだまだ早い話だわ」

 偉そうにコホンと一つ咳払いすれば、明香ちゃんが笑った。

 結局、私には夏らしい恋愛イベントもなく最後の遠泳大会は幕を閉じた。
 帰りはリムジンで打ち上げだ。
 それが結構楽しくて、執行部も悪くないなんて少しだけ思った。