今年の祝辞は氷川財閥総裁、要するに氷川くんのお父様だ。
 乾杯の音頭を取るのは、SBテレビの島津社長、修吾くんのお父様である。
 実はダメもとで島津社長にアポイントメントを取ったのは私である。
 なかなか保護者として学院に現れない島津社長にも、修吾くんの生活も見てほしいと思ったのだ。入学式にも来ないとか、本当に頭にくる。
 しかし、芙蓉会からの依頼であれば断らないと踏んだのだが予想通りだった。

 今年ももちろん紙コップでの乾杯で、私はワクワクとしていた。
 そう、一年生を嵌めるのである!
 芙蓉会の新歓コンパでは、毎年新一年生に対してパーティーでの注意点を啓もうしている。
 高等部にもなると、大人のパーティーへの準備が始まるのだ。飲酒を伴う不特定多数のパーティーでは、子供だけの場合とは違った危険もある。端的に実感できるよう、薬物に見立てたゼリービーンズを飲み物に入れ、注意を促すのだ。

 私も何度か紙コップにゼリービーンズを入れる練習をしてきたのだが、どうにもうまくいかなくて、私は囮役を拝命された。
 新一年生に話しかけ、注意をこちらに向かせるのだ。私と話に夢中になっているうちに、ほかの人が新一年生のコップにゼリービーンズを入れるという作戦である。
 私や詩歌ちゃん、氷川くんや八坂くんなどは囮役として一年生の注意を引く。