天色ガール



しばらくおっちゃん達とギャーギャー騒いでいれば。




「雨、何かあったのか」




深みのある黒の着物を身に纏った────父さんがちょうど階段を降りてきたところだった。





「「「親父!」」」





そう。父さんは荻荘組の組長だ。










───荻荘(オギソウ)組。



荻荘組とは、関東最大規模の極道組織のこと。



父さんはそこの現組長で、本名は荻荘(おぎそう) 正人(まさと)


この仕事のせいか威厳ある風貌をしていて、深い闇のような髪と瞳と着物。



父さんは絶対に“黒”しか身につけない。





「アメ!」





呼ばれた方に目線を変えると、黒スーツ姿のクモが父さんの横に立っていた。ちなみに中のシャツもネクタイも黒色だ。



クモは荻荘組の現若頭かつ父さんの息子で、本名は荻荘(おぎそう) 曇人(くもと)


暁とコウの大学時代の同級生でもあり、あたしは「クモ」って呼んでいる。




父さんによく似た端正な顔立ちに、灰白色の髪と黒縁眼鏡がよく似合っていた。



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