キミと、光さす方へ
転入生
翌日は少し曇っていて、あたしは家を出るときホッと息を吐きだした。


あまりに晴れている日は苦手だ。


太陽の光とか、街が明るく照らしだされるところとか。


なんだかこの街の暗い部分まで全部を暴きだされてしまいそうな、不安感があるから。


それに、自分なんかがこんなに暖かな場所にいていいのだろうかと思ってしまう。


あたしには日陰がお似合いだ。


決して誰かの中心になることはない、蔭の存在。


泉が学校を休んだ日は、いるのかいないのかわからない存在。


それが嫌だと感じることはなかった。


むしろそのくらいがちょうどいい。


あたしにとって脇役というキャラクターが安心できる場所なんだ。


「またギリギリだねぇ」


教室へ入るとホームルーム開始の2分前で、また泉がそう言ってきた。


「えへへ」


あたしは笑顔を向けて泉の前の席に座る。


「今日は転校生が来るって噂だよ」


後ろから言われて「へぇ、そんなんだ」と、前を向いたまま返事をする。


「気にならないの?」


「う~ん……?」


泉の質問にあたしは首をかしげた。
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