キミと、光さす方へ
似た者同士
翌日。


あたしはいつも通りギリギリの時間に教室へ入った。


教室の時計を確認するとホームルームが始まる1分前だ。


ほとんどの生徒がすでに自分の席に座って談笑している中、勇人が近付いてきた。


昨日のお姫様抱っこを思いだしカッと顔が熱くなるのを感じてうつむいた。


きっとあたしの顔は今真っ赤に染まっていることだろう。


「昨日大丈夫だったか?」


いつも通りに話しかてくれる勇人にひとまず安堵する。


妙に意識されたら、こちらもぎこちない態度になってしまう。


「うん。昨日はありがとう。迷惑かけてごめんね」


「別に迷惑だなんて思ってねぇよ。俺はただ――」


勇人は続けてなにか言いたそうだったが、ドアが開いて先生が入ってきてしまった。


勇人は中途半端に口を閉じて、仕方なさそうに自分の席へ戻っていく。


あたしはその後ろ姿を見つめて複雑な気分になったのだった。
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