俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

俺には何が出来るのか

★★★








ーーーまた、あの人が佇んでいる。




果てしのない、一面『白』の世界で。

儚く壊れそうな線の細い男性…また、あの人だ。

ただ一人、俯いたその顔を両手で覆って、肩を震わせている。



…泣いて、いるのか?



《…本当は、僕だって護りたかった…この、力で》



ぐすぐすっと、涙を啜る声が聞こえる。



《僕は、人に『命』を懸けてもらう程の存在ではない…尊い力だからといって、使うことが許されなかったら、無力なのと同じなんだよ…》



彼の放った言葉は、今の俺の心にグサッと突き刺さる。

思い当たる節があるからだ。



使わなければ、持っていないのと同じ…。

けど、周りはそうは言ってくれない。



《…僕が欲しいのは、尊い力じゃない。僕のために命を落とすことが無いよう、それを護る力なのに…!》



彼は顔を上げると、同時にこっちを見た。

そして、視線が合っただけでも驚かされるのに、彼は更に、こっちに問いかけてきたのだ。



《…君も、そう思うでしょ?》



俺も…?

お、俺は…。

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