俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
mission8 自己満足に溶ける正義

春は新しい物語の季節

★★★









空は久々に雲一つない綺麗な青空で、南中に昇る太陽から陽射しが降り注ぐ。

眩しさに思わず目を細めてしまう。

夏のように真っ青とはいかないけど、ここまで青みが出てきた空を見るのは久しぶりだ。

少し開いた窓から差し込む肌に当たる風も、少しずつ暖かみが感じられてきた。



もうすぐ四月。

北の大地にも、だいぶ遅い春が少しずつやってくる。




(気持ちの良い空だな…)




病室の窓から見上げる空だから、枠は小さいけど。

それでも爽快さを感じられる程の『青』だ。



「いー天気だな」



カラカラとキャスターの音を鳴らして、俺の傍にやってくる。

入院してから五日目。なずなはすでにベッドから降りて歩けるようになっていた。

点滴台というお供付きだが。



「腹の痛みは平気なのか?」

「だいぶ。たまにズキズキするかな」



そして、俺の隣に並んで、なずなも同じ枠の小さい空を見上げる。



「ああぁぁ…春休みを病院で過ごすなんて。買い物行ったり、むーたちと遊びたかったぁぁ…。伶士と肉も食いに行けなかったし…」

「だから。退院したら行こうって」
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