俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

生きている値打ち

★★★







ーーー当時の【夢殿】であった橘美頼が亡くなったのは、親父が小学四年生の時だった。

享年55歳。元々そんなに体の強くない美頼は、とある冬、インフルエンザから肺炎を拗らせて、あっという間にその生を終えた。

戦争を采配したという、大事を成した【夢殿】にしては、なんとも呆気なく天に召されたような気がする。



【夢殿】は、血統を経て継承される。



沢山いる子供、孫からそれに選ばれたのは、美頼の長男の息子、当時中学三年生の頼愛だった。



長男の頼愛は、病弱で伏せがちだったせいか、内向的で大人しい性格。見た目も中身をそのまま映し出したかのように線が細く、儚げ。

外で遊び回るよりも、家の中で机に向かい、読書や勉強を好む。

明朗快活な弟の士朗とは、面白いほどに真逆だった。

そんな性格も行動パターンも違う二人だったが、仲が悪いわけでもなく、むしろ喧嘩もなく仲良しだったからなお面白いと、親族は微笑ましく二人を見守っていたという。



ーーーそんな頼愛が、【夢殿】であると発覚したのは、祖母・美頼が亡くなってから数ヶ月後のことだった。

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