許す事ができるの?

···母の言葉

母に時間を貰い全てを話した。

母から
「私は、あの人からのご加護とか
まったく望んでいない。
自分で働いて生活もできている。
今までだって、一円ももらっていないし
あなたの事も認知してもらっていない。
あなたは、律は·····
片身の狭い思いをしていたの?
そんな風に思っていたんだ。」
と、言って悲しんだ。
それに
「あんなに、可愛い恵ちゃんに
私まで疑われてしまったのではないか」
と、母は涙を流した。

恵ととても仲の良かった母は、
とても辛そうだった。

「結局、全ては、
あなたの身勝手からじゃない。

父親に認められたくて
父親の会社に入った。

まして、
恵ちゃんとのお付き合いに
邪魔をしていた用な女性を
自分の秘書に置くなんて

そんな律に対して
私でもこの人は自分を欺きバカにして
騙していたと思うわ。

秘書を替えてもらおうとした?
それも嘘でしょ?
結局、替えてないし
替えようともしなかったのでしょ?
あなたは、口だけなのよ。
自分さえ良い、そう言う人間なんだわ。」
と、母は言った。

母から、父親の事は聞いていた。

母は、家庭のある人を好きに
なってしまって、奥様には
本当に申し訳ないことをした。
律には、申し訳ないけど
父親はいないと思って欲しいと
言われた。

だけど、母は、
父親がいないから···
と、言われないように
俺の為に必死で働いて
俺を大学まで出してくれた。

そんな母に片身の狭い····
なんて、言ってしまった。

俺は、
先輩を突っぱね切れずに
社会人になっても言いなりになっていた
それを恵に指摘されて
恵が離れた時。

初めは、恵に何がわかるんだ。
大学時代の仲間を
先輩を大事にして何が悪いんだ
と、思い。
そんな女なら、いくら好きでも
無理だな、と思った。

恵とは、考えが違うのだと。

だが、一週間、二週間とすぎて行く内
サークルの仲間や先輩の呼び出しに
応じ毎回ワイワイ、ガヤガヤと
楽しんでいたが
胸に穴が空いた感が抜け切れなくて
騒いでも虚しさが残るようになった。

いつまで学生気分でいる自分に
気づいて、これではダメだと
思い始めると
無償に恵に会いたくて····
我慢できなくなり
恵のマンションへ向かっていた。

あの日、恵をこの手に取り戻して
大切に大事にしてきた·····のに·····

母から、
「証人欄には記入します。
恵ちゃんのためだから。

だけど、私も恵ちゃんと同じく、
もう私に、関わる必要ないから。
あなたが、父親を意識して
父親といたいなら
そうすれば良い。

我が子ながらあきれを通りこして
情けない気持ちしかない。

私は、何のために、だれのために
頑張ってきたのか······」
と、母は泣いていた。
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