許す事ができるの?

···三人の関係


動物園で
咲茉は興奮気味で大変だった。

陽史さんにマンションまで
送って貰う途中から
だんだんと無口になる咲茉

心配になるが
あえて声を掛けなかった。
陽史さんは、心配げに
私と咲茉を交互に見ている。

マンションに付くと
咲茉は、陽史さんの手を
ギュッと強く握りしめ

陽史さんは、咲茉の目線に座り
「咲茉、今日はありがとう。
すっごく、楽しかった。
また、一緒に出掛けてくれる?」
と、言うと
咲茉は泣きそうな顔で
ニコリとして
「うん。約束だよ。」
と、言った。

陽史さんは、咲茉を抱き締めてから
「ゆっくり、休んで。
また、学校頑張ってね。」
と、言うと咲茉は何度も
頷いていた。
私は、
「陽史さん、ありがとうございます。
気を付けて、帰ってください。」
と、言うと
「恵も、ね。」
と、言ってくれた。

咲茉と部屋に入り
お風呂に入ると
咲茉は、疲れたのか
眠ってしまった。

陽史さんが自宅についたみたいで
LINEがきた。
『今日は、本当にありがとう。
本当に、楽しかった。』と。
私は、
『ありがとうございました。
体は、大丈夫ですか?』
と、返すと
『うん、大丈夫。』
と、返信きて、ほっとした。

楽しすぎて、自分自身はしゃいでいて
陽史さんに無理をさせたのでは
ないかと思っていた。

陽史さんに『おやすみなさい』と
LINEをしてから
咲茉を見に行く。

咲茉が一年生になり机も届いたから
部屋を咲茉の部屋と
私の部屋と分けた。

一人ベッドに寝る咲茉の目元から
涙が流れていた。

私は、咲茉に悲しい思いを
させてしまったのだろうか?

父親がいない事を
咲茉は、ずっと我慢してきたの
だろうか?

今回、陽史さんの優しさで
一緒に出掛けたことは
咲茉に、« 父親 »を
意識させることに
なってしまったのでは
ないだろうか?

私が、律を許せなくて離婚して
咲茉に寂しい思いを
させてしまったのだろうか?

色々、考え·····私は·····

咲茉と二人だけの
生活に戻ろう
そう····考えを決め
咲茉の涙を拭き
「ごめんね。咲茉」
と、言いながら頭を撫でた。
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