許す事ができるの?

···知らなかった事


話が終わっても怒りや
心配が無くなるわけではないが
社長さんや副社長さんを
信じるしかなかった。

これも律に関わる事だ·····
と、思っている·····と·····

「荒垣さん。
私達は、青木律と
腹違いの兄弟となります。」
と、副社長の靖さんが話を始めた。

私は、それを黙って聞く·····

「私は、律とは会社でも
仕事以外の話をしてきませんでした。

それは、兄も同じです。

私達は、小さいときに
父親から律の母親の事は
聞かされていました。

律の母親・由紀子さんは、
私達の母親に申し訳ない事をした。
と、言って
父親との全てを切りました。

ですが、父は独自に調べ
律の事を知ったのです。

あなたを欺き離婚に至った事は、
律が水島建設を辞めるこの時期に
初めて知りました。」
と、言われ
「彼は、こちらを辞めるのですね。」
と、私が言うと
「はい。
律は、あなたとの離婚に至った経緯を
母親である由紀子さんに話した時
由紀子さんから、かなり叱られ
由紀子さんから、自分に二度と関わるな
と言われたそうです。
ただ、あなたの為に離婚届の
証人欄は、記入すると。」
「えっ、お義母さんは、
律から離れたと言うことですか?
だから、郵便が····戻って·····」

「律は、由紀子さんがどこにいるのか
知らないようです。」
「そうですか?
お義母さんには、本当に可愛がって
貰ったのに、離婚することになり
申し訳なくて
落ち着いてから手紙を出したのです。
でも、宛先不明で戻ってきたので
受け取っては、頂けないのだと
思っていました。
·····引っ越し····されたのですね。」
と、私がお義母の事を考えていると····

「一度、律に会って貰えませんか?
あいつが悪い。全て悪いとわかっています。
あなたに嘘をつき続け、まして
戸川の事も何一つ話してなかった。
あなたを欺き騙していた
だが、そうなったのも父のせいもある。
律は、まだあなたに気持ちが
残っています。
律に前を向かせたいのです。
後ろばかり見ていては
律は、前に進めない。
父から、何も受け取らない
手続きを律はしました。
どうか、お願いします。」
と、頭を下げる副社長の靖さんに
「靖、荒垣さんに迷惑だ。」
と、社長の健さん
「だが、兄貴!」
と、靖さん。
「律が、招いた事だ。
荒垣さんには、荒垣さんの生活がある。
彼女だって、ここまで楽にやってきた
わけではないはずだ。
だが、彼女は律から一円も貰わず
ただ、律自体から離れたい
それが、荒垣さんが出した答えだ。」
と、健さんが言うと靖さんは、
唇を噛み締めた。

わたしは、ハラハラしながら
でも、律には、よき兄弟が出来たのだ
と、思っていた。
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