こんな思いを···いつまで
四話···対面

···大倉財閥


4月1日が来た。

あの話をしてから
俺達は、一層深く愛しあうように
なった。

どんな女か知らないが
俺には静だけだ。

だが、鮎川側に疑われるのは
困るから鮎川側も抱くしかないが····

« コンコン »
「専務、社長がお見えです。」
静の声に
「どうぞ。」
と、言って立ち上がり
ドアの方へ向かう

総帥・父と鮎川財閥の総帥が
入ってこられた。
鮎川財閥の総帥の横には
秘書の男性がいて
その後に女性がいるようだ。

「久しぶりだな、翼君
頑張ったいると、父上からも
回りからも耳に入っているよ。」
「とんでもございません。
父である総帥の足下にも
及びません。
鮎川様こそ、名を轟かせて
いらっしゃいます。」
「嬉しい事を言ってくれるな。
ありがとう。
今回は、大倉財閥と鮎川財閥の
提携で他の財閥から、
一目おかれている。
婚約パーティーは、
今週末にと準備を父上と済ませている。
仕事の方は、会社と言うものは
を教えてくれ。
財閥の集まり等には
必ず同伴してもらう。
良いね。」
断る事なんか出来ない威圧さだ。
「わかりました。」
「住まいの件は、こちらのわがままで
済まないが、入籍をしてからとなる。
だが、今年の三月末までには、
入籍をする。四月に披露宴の予定だ。
あ~、言い忘れておったが。」
と、父と俺の顔を見て
「鮎川を裏切る事や蔑ろにするような
事は、断じて許さない。
調べれば、何でもわかる。
なぁ、大倉総帥。」
「そっ、そうですね。
ですが、鮎川財閥を敵に回すような事、
決して行う事はありません。」
「それを聞いて安心した。」
と、俺を見据えた。

あっ、この人は知ってるんだ
静の事を·····

どうするか、と思っていると
「ひまり、来なさい。」
と、鮎川財閥総帥が言うと
秘書の後にいた女性が
秘書の横に立ち、
顔を上げ、俺と父を見て
「鮎川 ひまりと申します。
宜しくお願い致します。」
と、綺麗な角度で頭を下げた。

その立ち振舞い····
嫌···その容姿に目が止まり
言葉がでなかった。
それは父も同じらしく

鮎川財閥総帥も秘書も
ひまりと言う女性も不思議に
思っているようだったが····

父が
「申し訳ない。
大倉財閥総帥の大倉 友章です。
こちらが息子の」
「大倉 翼です。」
と、二人で挨拶をした。

頭を上げて
彼女を見ると彼女の瞳には
なんの感情も無いように見えた。

それにしても
美しい·····
その言葉に限る。

鮎川財閥総帥と秘書
そして、ひまりはそのまま
会社を後にした。

明日の朝から出社する。

セキュリティを解除する
社員証を用意するように
伝えて仕事に戻る。

父にも、鮎川総帥が
言った意味がわかっているのだろう
苦虫を潰したような顔をしていた。
静が、愛人でも良いと言った事を
報告していたからだろう。
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