あなたは私の救世主!~俺様ドクターの命じるままに
見てはいけないもの…
父が無事退院し、追いかけるようにみくるも
退院が決まった。

1番に報告したい聖人は忙しくてなかなか会えず、メールの返事もない。

『……忙しいのかなぁ…』


消灯を過ぎても眠れないみくるは、
ナースステーションの看護師に一言伝えてから
院内を散歩し始めた。
もしかすると、院内をプラプラしていれば
聖人に会えるかもしれないと期待して。
そして、医局や会議室のある管理部門フロアまで
足を向けてしまった。


廊下を曲がった先辺りから話し声が聞こえる。

(……水野先生…?)

『聖人、みくるさんのせいで変わっちゃったよ。
人に何言われても自分の意志貫く男だったのに…
何なのあれ!人前で手繋いだり、
みくるさんが倒れて自分の事責めたり!
そんなの、私が好きだった聖人じゃない!』

『葵に関係ないだろ……もう終わってるんだから。
みくるを守るには、俺が変わらないといけないんだよ……』


みくるは静かに後ずさりをして振り返った時、
そこに葵の彼氏である小山が現れた。

『あれ?みくるちゃん、ここで何してるの?』

『………』


微かに泣いているようにも見えたみくるは、
返事もせずにエレベーターに乗ってしまった。

そして小山もみくるが立ち止まっていた場所に
行くと、同じく足が止まった。

『俺の恋人はみくるだ。
みくるの為ならなんだって出来る!って、
そう思える人間に変えてくれたんだよ…』

『人の為にとか守るとか彼女に見せる笑顔とか…
私には、そんな顔見せてくれなかった…』


陰から小山が見ているとも知らず、
葵は悲しそうに、聖人の唇にキスをした……

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