ささやきはピーカンにこだまして
第5章『く・そ・が・き?』
 朝。
 トーストをかじりながら、二紀(にき)がひとりごと。
「あぁもう、身体がなまってしょうがないや」
 生意気にぃ。
 今まで部活なんてしたこともないくせに。

 わたしたちバド部は、部員少ない→試合勝てない、という負の連鎖から抜け出せない部なので、体育館は火、金曜日しか使えない。
 だから他の日は、トレーニング室で基礎体力作りっていう案も過去に出たは出たらしいけど。
 結局10年、週2の部。
 まぁ、わたしなんかは素直に喜んじゃうけどね。
「姉ちゃんさぁ、どっかで練習しない? いっしょに」
 ンまぁ、この積極的なこと。
「なによ。いきなりレギュラーだと思ったら、やる気でたか?」
「あら、なに? 二紀はもうレギュラーなの? いやぁねぇ、お姉ちゃんはなにしてるのよ。2年生になったんだもの、そろそろ試合、出られるの?」
 うっ。
「お母さんねぇ、誤解しないでよ。男バドは5人しかいないの。即レギュラーはあたりまえなのっ。二紀なんか、てーんでへたくそ、どじょうすくいよ」
「なんだよう、まだ正式な部活は2回じゃないか。ぼくたち、自主練で(きた)えてんだぞ。今日からは昼トレだってするんだからな」
「ほー、そうかい。へたっぴふたりでがんばれよ」
「キャプテンがいっしょだよーだ」
 えっ?
 結城先輩が?
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