好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



短い距離だけど急いで、いっくんの前まで駆け寄った。

そんなわたしに変わらない笑顔を向ける。



「今日、委員会あるみたいだよ」

「そうなの?」

「うん。さっき教えてもらった。くるちゃんも知らなかった?」

「知らなかった!」

「じゃあ、今日言われるのかな。初めての委員会だね」



いっくんと学校で関わりをもちたくて、同じ委員会に入った。

うれしい。


委員会が楽しみって思ったのは初めてだ。


中学生のときは、委員会も学年ごとで上の学年と集まるなんてことはなかったから。




「ちょっと緊張する」

「最初は顔合わせみたいなもんだよ。でも、気持ちはわかるな」



優しく微笑むいっくんにきゅんと胸が音を立てる。

朝からドキドキしっぱなしだよ。


いっくんを見つめていると、ドアが開かれる音がする。

だれが出てきたなんて見なくてもわかるから、顔は向けない。




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