ふたりきりの車内は、しんと静まりかえっていた。

なにも言えずカタカタと唇を震わせる私をよそに、冬哉さんは目的地を告げずに車を走らせる。
十数分ほどで、都内でも見たことのない路地へ入り込み、不安になって窓の外を眺めると、そこは横文字の看板ばかりが並ぶホテル街だった。

すべてのLEDが落ちている昼間は、気味が悪くなるような閑静な雰囲気に包まれている。ごくたまに、車とすれ違う。

この道は近道かなにかで、当然、通りすぎるのだろうと思った。

「……と、冬哉さん」

しかし車はこのうち一番大きい門のホテルの敷地へと躊躇なく入って行く。

外に扉の着いた部屋に繋がったワンガレージの駐車場へバックで停められ、やがてエンジンの音も消え去った。