今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 陽茉莉はリビングのほうに声をかける。けれど、返事はなかった。

「係長?」

 ソファーに近付くと、今日もオオカミ姿のまますやすやと眠っている相澤の姿があった。毛並みが少ししっとりとしているのは、お風呂に入った後にきちんと髪を乾かしていなかったからだろうか。

「こんなところで寝てると、風邪ひいちゃいますよ」

 陽茉莉は体長一メートル以上あるオオカミを見下ろす。

「仕方がないなぁ」

 相澤の部屋に行き、毛布と布団を取ってくるとそれをそっとオオカミの体にかける。

「おやすみなさい。今日もお疲れ様」

 陽茉莉はそう言うと、リビングの電灯の光を最弱まで暗くした。

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