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 事件から二週間が経ったこの日、相澤は高塔と久しぶりに飲みに来ていた。

 宴もたけなわとなった頃、高塔が一本の酒を取り出した。持ち込み料を支払って、特別に持ち込んだのだと言う。
 注がれた透明の液体に口を付けると、からりとした軽快な飲み口と、まるで白ワインを思わせるフルーティーな味わいがした。

「これ、旨いな」
「だろ?」

 青い江戸切子のグラスを見つめる相澤を見つめ、高塔がにんまりと口の端を上げる。

「なにせ俺が、隠世から取り寄せた本物の神酒だから。まだだくさんあるから、飲めよ」

 高塔は瓶子(へいし)を持ち上げると、それを相澤の空になったグラスに近付ける。相澤はありがたくそれを注いでもらった。