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 消毒液の独特の匂いが、スンと鼻孔を掠める。

「ちょっと染みるけど我慢して」
「はい」

 次の瞬間、飛び上がりそうな痛みが走る。
 この『ちょっと染みるけど──』って下り、小さな頃からよく聞くけれどちょっとだった試しがない。

「はい。できたよ」
「何から何まで、本当にすみません……」

 陽茉莉は立ち上がって絆創膏のごみを捨てている相澤に、謝罪する。
 腰を抜かした陽茉莉のことを、相澤はおんぶして自宅まで連れて帰った。書類を渡したら用事は済むのでタクシーを拾ってくれと頼んだが、却下されたのだ。

「動けない部下を放置するような鬼畜だと思われているなら、結構ショックなんだが?」
「はい、すいません」

 ぎろりと睨まれると、それ以上反論できるわけもなく。
 そして、こうして傷の手当てまでしてもらったわけである。