今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
(それにしても、いいところに住んでるなー)

 相澤がお茶を用意してくれるというので、待っている間に陽茉莉は室内をきょろきょろと見回す。

 モダンスタイリッシュスタイルというのだろうか。
 目寸で十五畳程度のリビングダイニングの壁には大型テレビ、家具はメタリック調のシンプルなもので統一されている。窓際には観葉植物が置かれていた。

 全体の間取りはわからないが、どう見てもひとり暮らしの男性には広すぎるように見えた。陽茉莉が知る限り、相澤は独身のはずだ。

(彼女さんと一緒に住んでいるのかな? でも、それだと今鉢合わせすると誤解を──)

 グラスを持った相澤がキッチンから戻ってきて、陽茉莉の前にあるガラス張りのローテーブルにトンと置く。

「あの、係長。ありがとうございます。私、これをいただいたら帰りますね」

 陽茉莉は出されたグラスを手に取ると、それを一気に飲み干す。上司の痴情のもつれに巻き込まれるとか、まっぴらごめんだ。
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