今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

「係長。すぐ用意するから、ちょっと待っていてくださいね」

 陽茉莉は立ち上がるとキッチンへと向かう。

「お兄ちゃん! 僕ね、今日、上手に縄跳びできたよ」
「へえ、すごいじゃないか」

 相澤が悠翔の頭をぽんぽんと撫でると、悠翔は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

(本当は俺が、もう少し家に居られればいいんだけど)

 自分が出かけることによって結果的に陽茉莉に悠翔の世話を押しつけることになり、負担をかけていることは自覚していた。それに、陽茉莉は掃除や洗濯などの家事も気付いたらやってくれている。

 邪鬼退治に関し、自分の代わりを務められる人間がいないことが、口惜しい。
 唯一の救いは、陽茉莉が悠翔の相手を楽しんでくれている様子なことだ。
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