運命の一夜を越えて
第八章 さよならの準備
最後の旅行からあっという間に半月がたった。
私は渉に何も返事を返していない。

渉も私が返事をすることを待ってくれているのだろう。
私をせかすようなことはしない。

タイムリミットまではあと1か月。
私は病院の丘の上で渉に病気を告白したあの日からちょうど一年の日までに渉と離れると決めている。

その日まで、あと一か月。

渉からのプロポーズは私の決意をより一層硬くした。
これ以上、渉と距離を近付けてはだめだ。

渉を傷つけるだけ。

せめて・・・渉が・・・渉に本当の幸せをくれる素敵な人と出会って、その人との未来に進めるように・・・私を嫌いになってくれたらいい・・・そう思って私はできる限り渉に冷たくするようになった。
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