運命の一夜を越えて
第十章 つかの間の幸せ
渉は私が眠りについたあと、渉は母と一緒にいろいろと手伝ってくれたらしい。
久しぶりにぐっすりと眠った後、ゆっくりと目を覚ますと、渉が私を抱きしめるようにして眠っていた。

覚えてはいなかったけれど、幸せな夢を見たような気がする。

渉の顔にそっと触れる。

愛おしくてたまらない渉の顔。
ずっとまっすぐに見つめることができなくて目をそらしてばかりだった。

でも、今は堂々とまっすぐに渉を見つめることができる。

愛してる・・・

ごめんねよりもそう繰り返しながらその頬に触れ、鼻筋をなぞり、長いまつげをつつく。

「目、開けずらいだろう」
渉の言葉に手を引っ込めると、渉は目を開けて笑った。
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