最後の悪夢



俺はとうとう倒れた。

馬鹿みたいに息が苦しかった。足がズキズキと痛んで、それから感覚が遠退いていく。ホテルのときを思い出して、震える。血の気が引く。頭が真っ白だった。


抱き締められた体が温かかった。
怖い。でも、楽しい。嬉しいな、って思った。


自分を抱き締めてくれた旭はそのまま倒れて下敷きになった。すぐに抜け出して隣で俺の顔を覗き込んで。


「大丈夫?」


って、俺に笑いかけるんだ。


俺はもう、悲しいのか怖いのか、嬉しいのか分からなかったけど、気持ちがいっぱいいっぱいになって、泣いた。


涙が溢れて止まらなかった。

青空が眩しい。横になったまま腕で目元を隠す。真っ暗になった視界にこべりついて離れない光景。きっと一生忘れない。

旭の笑顔は痛いくらいに優しかった。


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