赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

教えてほしい下り月

†††



翌週の月曜日。

昼食を終え、図書室の指定された席へ足を運ぶ。



「こんにちは……」



2階に上がると、窓際の席に座っている沢村先輩と目が合い、恐る恐る挨拶をした。



「遅れてすみません」

「いえ、僕もついさっき来たばかりなので」



柔らかな笑顔で迎えてくれた先輩に頭を下げて、椅子に腰を下ろし、保健室の時と同じ向かい合わせに。


これから何をするのかというと、治療という名の雑談会を行うのだ。



「今日は初日ですし、自己紹介も兼ねてお互いの好きな物について話しましょうか」

「はいっ」



良かったぁ。
また質問攻めされるのかなって思ったけど、好きな物の話ならリラックスして話せそう。

同時に先輩のことも知ることができるから、少し恐怖心も和らぎそうだ。



「では改めて。3年1組、沢村宗星です。よろしくお願いします」

「こちらこそっ。2年3組の雨村風花です。よろしくお願いします」
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