父が作ったケーキを真雪と囲む。


「俺、ホールケーキ食べるの初めて」

「小さいけどなー」


 綺麗な切り口にするために包丁を温めながら、箱からケーキを取り出す。

 そうか、ホールケーキ食うの初めてなのか……。
いや、あたしも丸ごとはないけど。



「真雪、このままフォーク刺せ」

「え?」

「ほら、やっちまえ、ファーストフォーク」



 コンビニの短いプラスチックフォークを手渡してやる。

にやにやと笑うあたしに戸惑いながら、意図を汲んだのか、恐る恐るチョコレートの表面にフォークを入れていく。

パキ、とコーティングされたチョコレートにヒビが入ってそのまま一口、頬張る。



「……うまい?」

「うん!」



 笑顔が眩しい。

19歳とは思えない純粋さ。

男女のドロドロとか一切無縁そう。純度100%の天使か。
このままでいてくれと切に願う。