契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました

再会は偶然に


「こんな日に寝坊するとか、ありえないでしょ」
 
 鏡に映る自分にそう言い放ち、手早くメイクを済ませる。買ったばかりのスーツに着替え髪を整えると、今日提出する書類の入った少し大きめのバッグを肩に掛け部屋を出た。

「今日も快晴。いいことがありそうな予感がするわ」
 
 空に向かって腕を伸ばし、太陽に手のひらを近づける。指の隙間から零れた光に、目を細めた。
 
 事あるごとに天気に恵まれている私は、やっぱり晴れ女なのかもしれない。そんな些細なことでも嬉しくなって、笑顔のまま気分よく歩き出した。
 
 元カレと後輩の結婚式でたまたまテーブルが一緒になった名前も知らない男性と、一夜だけの関係を結んでしまった日から二か月。

 まるでお互いを欲しているように激しく抱き合ったあの日のことを思い出すと、二か月が経った今でも身体が熱くなってしまう。

 彼は何度も私を絶頂へと導き、甘い吐息を吐かせた。濃密な時間は限界なく続き、眠りにつかせてもらえたのは窓の外がうっすら明るんできたころだった。


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