一夜の奇跡は真実の愛を灯す～副社長の甘い誘惑に溺れて～

バイオリンが結ぶ夜

『どうして…』


お願い、誰か嘘だと言って…


これは悪い夢で、現実じゃないって。


暗闇の中、呆然と立ち尽くす私。


桜の花びらが1枚…


ヒラヒラ舞い落ちて、涙で虚しく濡れる頬に…ピタッと張り付いた。


それを払う余裕もなくて…


私は、ただ…


いっぱい泣いた。


大好きな桜の木の下で、大好きなあの人にフラレたショックは、相当大きく私の胸を痛めつけた。


『お前にはきっと違う未来がある。俺は新しい恋人と新しい人生を見つめたいんだ。すまない』


カッコ良く聞こえるけど…


ただの二股。


私に隠れて、他の女性と…


『じゃあな。お前も早くいい男、見つけろよ』


無慈悲に投げつけられたそのセリフに、私は…


情けないけど、どんな言葉を返したらいいのかわからなかった。


「ふざけないで！」


って、暴言を吐けば、少しは楽になったのかな？


でも…


あまりに突然過ぎて、そんな気力が…


もう、1ミリも残ってなかったんだ。