君のブレスが切れるまで
 2017年 6月


 夕暮れの薄暗い高架下で三人の女生徒達に囲まれ、殴られ蹴られ、口から血を流している一人の少女、それが私。赤坂(あかさか) (かなで)、十六歳。


「本当、抵抗しないからストレス発散になるわ。ほら!」
「うっ……ぐぅ……!」


 お腹へ痛みと衝撃が走る。
 どうやら蹴られたようだ。息が詰まるように苦しさが込み上げてくる。


「げほっ! げほっ!」
「だらしない顔、よだれと血で汚い……」


 明るい色の長い髪をツインテールで結っている女が、恍惚の表情を浮かべている。
 なぜこの人はこんなことをするのだろう? どうして笑顔でこんなことができるのだろう? この人は誰? 私はこの人に何も悪いことはしていないはずなのに、学校で呼び出されてはいつの間にか、こんな日々が続いていた。
 私はお腹を押さえうずくまる。こうしていれば、諦めてくれるかもしれない。無理に反抗しない方が、すぐ終わるはず。


< 8 / 270 >

この作品をシェア

pagetop