政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
『新婚旅行で知る、旦那様の一面』
 熱いシャワーを浴びていると、今日一日のことを思い出す。

 人生でたった一度きりの結婚式だったのに、なんだかあっという間だったな。

 シャワーを止めて浴室を出ると、洗面台に映る自分の姿が目に入る。

 今日、私と零士君の結婚式が行われた。

 あれほど零士君のことが嫌いで、好きになった相手としたいと思っていたのに。

 この半年間、本当にいろいろなことがあった。

 あれほど好きで家族を捨ててまで一緒になりたいと思っていた文也に振られ、その日のうちに零士君と関係を持ってしまった。

 まさか夢にも思わなかった。零士君に好かれていたなんて。ずっと嫌われていると思っていたもの。

 最初好きだと言われた時は耳を疑い、からかわれているのかと思った。落ち込む私を見て、面白がっているのかも……なんて、ひどいことも考えてしまった。それほど信じられないことだったから。

 でも零士君に何度も好きだと伝えられ、必死に結婚してほしいと懇願する姿を見せられたら、冗談でも嘘でも、からかっているわけでもない。本気なんだって伝わってきた。
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