スズメに似た鳥の声が聞こえる。窓からは朝の弱い日の光が差し込んでいた。社畜メイドとしての一日の始まりだ。 

 私はベッドからむくりと起き上がると、ううんと背伸びと欠伸を同時にした。ナイトキャップを外して乱れた髪を櫛でまとめる。 

 ぐっすり眠ったからかいつもより気分がいい。あんな夢を見たからだろうかとちょっと戸惑った。

 猫になってアトス様に可愛がられるだなんて、どうしてアトス様だったんだろうか。斎藤さんちにお世話になるほうがまだ納得できる。

 ま、まさか、アイドルとか推しとか、お金の掛かりそうな存在には、そんなに興味なかったはずなのに、願望丸出しの夢に登場するくらいなんだから、結局私も面食いでアトス様が好きだったの!?

 少々動揺しつつもとにかく仕事に行かねばと、起き上がって布を手に裏口近くにある洗面所へ向かう。

 洗面所と言っても石造りの井戸と洗面台があって、そこで汲んだ水と石鹸で軽く洗うだけだ。王侯貴族なんかは水道の蛇口を使えるそうだけど……。

 私は取り敢えず桶を井戸に下ろして水を汲んだ。そして、水面に映った自分の姿を見てぎょっとする。

 えーっと、私の頭の上についている、この大きな黒い猫耳のようなものは何!? いや、猫耳そのものだよね!? 一体どこの世界の萌えキャラなの!?