……などというろくでもない前世を思い出したのは、私がちょうど十五歳になった頃のことだった。

 なんの前触れもなく記憶の洪水に襲われても、私はそこまでうろたえも絶望もしなかった。前世の人格に乗っ取られるなどということもなかった。

 なぜなら、現世も似たような労働境遇、似たような性格だったからだ。それどころか、なんの因果か前世の愛良と同じ、「アイラ」というファーストネームだった。

 アイラ・アーリラ、十七歳、平民。それが私のこの世界での身分だ。

 生まれたところはカレリア王国と言って、地球では聞いたこともなかった国名なので、きっとここは前世からすれば異世界なんだろう。

 王族、貴族、平民などの身分制度があって、雰囲気は中世のドイツに近い気がする。某ネズミの国のシンデレラ城みたいな王宮や、街の建物のメルヘンチックな赤茶の屋根がそれっぽかった。