異世界だと確信した理由はもう一つあった。それは魔力や魔術、魔術師が存在するからだ。

 魔力は誰でも持っている力で、私も簡単な魔術は一応使える。ランプやかまどに火をつけたりする程度だけどね。平民ではこれが一般的なレベルだ。

 中には森を一瞬で焼き払ったり、何もないところに湖を作り出したりと、戦車やダム並みの魔力の持ち主もいる。と言っても、それだけのことができる人はそう多くはない。

 膨大な魔力を持つ彼らは魔術師と呼ばれていて、カレリアには百人くらいしかいないんだそうだ。カレリアでもエリート中のエリートで、ほとんどが宮廷や軍隊に仕えている。

 宮廷魔術師のような特権階級がいる一方で、私はそんな人外の練り歩く王宮に、最底辺の下働きのメイドとして働いていた。

 私が生まれた家は王都から馬車で二時間の小さな町にある、小さな今にも崩れそうな貸家だった。

 お父さんは町を守る城壁の衛兵をやっていて、お母さんは大通りにある商店で働いている、カレリアではごく一般的な平民の家庭だった。ちなみに、両親&六人弟妹の大家族だ。

 平民は読み書き計算を親から習ったあとは、十二、三歳ごろから働きに出るのが普通だ。私もお父さんの伝手を辿って、三年前に王宮のメイドになった。