呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?

第6話



 シンシアはフレイアの身を案じた。
(一体あの瘴気はどこから発生したの?)

 皇帝が住まう宮殿に魔物が発生することはあり得ない。可能性として高いのは魔瘴核だろう。

(ロッテの時の魔瘴核とは別に存在するなら、これは意図的に誰かが魔瘴核を宮殿内に持ち込んでいることになる。それなら一刻も早く対処しないと)
 シンシアはソファから飛び降りると丁度、入れ替わりでスープを運んできたロッテが扉を開けて入ってきた。

「きゃっ!! え、待って。どこに行くの!?」
 スープを運んできたロッテに脇目も振らず、シンシアは医務室へ一心不乱にひた走る。

 全力で走っていると足がもつれて派手に転んだ。起き上がって頭を振ると体勢を整えていると、再び中庭から微かに瘴気の気配を感じた。

(早く元を見つけ出さないとまた被害が出てしまう)

 焦りながらもシンシアは瘴気に意識を集中させ、出所を探る。地表の下から一定速度で中庭全体を蛇のように這っている。
 深いところから湧き出るようにその気配は一気に上昇する。目に留まったのは、水路の真ん中に建つ噴水だった。吹きだした水は直線の水路を流れて池へと向かう。

< 166 / 219 >

この作品をシェア

pagetop