恋愛境界線
scene.10◆ それって、ヤキモチですか?
□□□□□□


「こんばんは。企画の若宮さんですよね?」


私たちのすぐ目の前までやって来た渚は、「以前にも社内で一度お会いしました、秘書課の緒方です」と、(みずか)ら名乗った。


「どうして、渚がここに……?」


「それはこっちのセリフ。どうして遥がここにいるのか、俺の方が訊きたいんだけど?」


失礼ですが、こちらは若宮さんのマンションですよね?と、渚が若宮課長に訊ねる。


若宮課長は仕方なくと言った風に口を開き、そうだと認めた。


「若宮さんだけでなく、遥も着替えて出てきたところを見ると、まさか遥もここに……?」


「ちょっと、渚!まさか、ずっとつけて来たの!?」


「まさか。駅前を通った時に、偶然二人が並んで歩いているのを見掛けて……だから、ずっと、ではない」


お互いに、“まさか”“まさか”と、まさかのラリーが続く。


「どっちにしろ、つけて来たことに変わりはないじゃない!信じらんない!」


渚こそ、ストーカーとして警察に捕まっちゃえばいい!


< 178 / 621 >

この作品をシェア

pagetop