期間限定恋人ごっこ【完】番外編
Day6


夢は見なかった。

全て忘れることなんて出来なかった。



むしろ昨日のあの言葉をしっかりと覚えていて、こんな時、無駄に記憶力のいい自分を恨んだ。



時刻を確認するべく充電器に挿しているケータイを取るとロック画面を見れば、2時前と遅めに起きてしまった。



休日だからと眠りすぎてしまって目は膨れてしまってるし、体はだるいし、頭まで痛い。



いつもなら10時30分くらいに起きるのにな、と思ったり。



今日も仕事のお母さんは家に居なくてとても静か…静かすぎて気持ち悪い。




『…え?』




ラインが一通入っていたからそれを確認すると彼からのものだった。



たった一言…ただの一言?大切な一言?
それさえもどうでもいいと思った。



゛今日4時に沙夜ん家近くのファミレスに来て。゛



ただ、呼び出さないでほしい…そう思った。


『なんなのよ…』



そう呟いてベッドから抜け出しキッチンへと向かうと、コップと麦茶を注いで喉を潤すとラップがかけられたサンドイッチに手を伸ばして口に運んだ。


『美味しい…』


お母さんの作るサンドイッチはいつもひと手間かけられていて美味しい。



サンドイッチを頬張りつつ着ていくものを探して白のショートパンツと黒地に白文字がプリントされた半袖のTシャツ。



髪はお団子にして前髪はコテで少し巻いて可愛くしてみた。

人に会うってのに手抜きなんて出来ないからね。



しっかり準備完了の私は白の厚底サンダルに足を通すと家を出て、鍵をかけるとファミレスへと向かった。



まだこの時間か…約束の時間には少し早いけどまぁいいやと軽い気持ちを胸にカツンカツンと足音を鳴らしながら向かった。


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