マネキン少女
孤独なピエロ
初めてヒロが真実を見せてくれた。


そんな気分に陥った私は、何処かおかしいのかも知れない。


紫色の花弁が咲き乱れた、ヒロの腕。


「それ……。誰にされたの……?」
「うーん。親父!親父って言っても血は繋がって居ないけど……」


今までそれを隠して、笑顔で接してくれていたヒロの事を考えたら涙がこぼれそうだ。


「そうなんだ。だから、長袖で隠していたんだね……」
「まあ、そんな感じ!」


そう言えばヒロには妹が居たよね。


「妹さんも同じ目にあっているの?」
「妹は大丈夫なんだ!俺は父親が違うからさ……」


そう言ったヒロの表情は悲し気だ。


ヒロの闇が深すぎて、自分の抱えている物も口にしたい気持ちになったが、ぐっと飲み込んだ。


「ヒロ君……」
「ん?」


今まで遠く感じていたヒロが、身近に感じてしまう。今まで以上にヒロの事が愛おしく感じてしまう、私の心はねじ曲がっているのかも知れない。


「私はヒロ君と沢山喋りたいよ……」
「なに?俺の事好きになった?………だとしたらるるちゃんはおかしいわ……」


そう言ったひろの表情は、まんざらでも無さそうだ。


でもその気持ちは分かる。
< 93 / 181 >

この作品をシェア

pagetop