偏にきみと白い春

【3】

________________________
____________________
________________
____________
________……


今でこそあんなにも壊れてしまっているうちの家族だけれど、最初から関係が悪かったわけじゃない。むしろ、昔は本当にごく普通の仲のいい3人家族だった。

 優しいお母さんと、仕事熱心なお父さん。平日はお母さんが作る美味しい食卓を家族3人で囲んで、休みの日には一緒に遊びにも出かけたし、美味しいものをたくさん食べに出かけたりした。

 動物園や遊園地、水族館に映画館。家族でいろんなところに行った。お父さんもお母さんも優しくて、ずっとずっと笑っていた。笑うことが当たり前だった。


 それだけじゃない。今でこそいつも一人でいる私だけれど、あの頃は仲のいい友達もたくさんいた。小学生の頃の私は、どちらかというと高城領みたいに常に周りに人がいるタイプの人間だったと思う。

 昔から頭の良かった私は、先生にも親にも褒められ、可愛がられ、周りに好かれながら、何不自由ない生活をしていた。


 世界は、私だけで輝いていた。

< 27 / 175 >

この作品をシェア

pagetop