素直になりたい。
Ⅸ 新たな道へ
――ピンポーン!


この緊張感にふさわしくないインターフォンの高音が田舎の住宅街に鳴り響いた。

実家に帰ってくるのは丸3年ぶり。

果たして、家出少女の運命は...?

なんて、ドラマチックに言わなくても、

結末は見えている。


「はい」


インターフォンの向こうから声が聞こえた。

その瞬間、不覚にも鼻の奥がつんとした。


「直禾です。鷲尾直...」


――プツン。


最後まで言い終わらないうちに切れた。

やっぱりそうなるよね...。

仕方ない。

帰るか...。

踵を返した、

その時だった。


――ガチャ。


ドアが開いたかと思ったら、

人が勢い良く飛び出して来た。


「直禾っ!」


私を1番に迎えてくれたのは、

母だった。

< 353 / 372 >

この作品をシェア

pagetop