王女ちゃんの執事3『き・eye』男の娘、はじめます。
第3話『き・eye』

1『弟デヴュー』


 なんだって、こんなことになったのか。
 おふくろが超絶お受験戦士ママレンジャーになっちまった。


 期末テスト後の三者面談でガイコツマンが放った口もはさめない演説。
「まぁ、ここから文3を目指すつもりで励まれれば、当初お母様がご希望でした横国、学芸レベルは受験時まで維持できましょう。もちろん加藤くんのがんばり次第ですけどもね。先般お話させていただいているので夏の補講費用の保護者のかたのご負担もすでに覚悟がおありでしょうし。あとは加藤くんに更なる本気を見せていただけば、こちらも心して、手厚く、指導させていただきます」
 いや待て。
 別にご指導していただきたくないし。
 志望校・東大なんて、おれのおふざけだと知っていたから最終志望書提出のあと、おふくろにそこは黙ってたんだろう?
 口あんぐりの展開に子、絶句。母、武者震い。
「もちろんです! 5月にお電話いただいてから主人ともども準備しております。でもまさか、この子が本気で受験に取り組もうだなんて! 幸い下の子に手がかからないぶん、もちろんですとも! 私どもも心して! 監督させていただきます!」
 待てって。
 おふくろ。
 おれの将来は教師か公務員なんだろ?
 文3なんてハイスペックは、必要ねぇからっ!
 ――と、あせるおれは見た。
 ガイコツマンがにやっと笑ったのを。
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