「姉ちゃん、起きてる?」

ドンドンドン! 大きなノックの音で目が覚める。

「……おき、てる」

ベッドの中から言ってみたけど「起きてねえだろ」、不機嫌そうな泉澄(いずみ)の声と共にドアが開く。

「遊園地まで送って行く約束だろ。もうすぐ日和(ひより)が来るって」

そうだった。
私は重い瞼を押さえる。

いつもならゆっくり寝てられるのに、今日は創立記念日だかで休みらしく、平日でも弟の泉澄は家にいる。

そして10月も半ばとなり、朝晩もぼちぼち寒くなって曇天の日も多くなってきたというのに、今日に限って晴天。しかもかなり、暖かめな気温。

昨日、晴れたら日和と遊園地に行くから送って行けよ、と命令された時、全力で雨を願ったのに……叶わなかった。と言うか、高校生がわざわざデートでそんな遠いところに行かなくてもいいのに。

春休みも夏休みも、かなりあちこち送った。それなのにまだ、行くとこある? って思うけど。

少しでも日和ちゃんに、いいところをみせたいのかもしれない。”どうせ姉ちゃんは暇だから”なんて言ってるはず……まあ事実、暇だけど。