リバージュに着き、窓際の席に案内されて10分ぐらい経った頃、安吾が現れた。

「久々」

軽く手を振った私を見て、安吾も「久々」、掌を見せる。そして私の向かいに座ると「眼鏡女子だ」、少し弾んだ声で言った。指まで向けられて、やっぱマズかった? 少し焦りながら「いつもは」、早口で言葉を並べる。

「コンタクトなんだけど。今日は泉澄に急かされて」

「あー、だからそんな感じなんだ」

意地の悪い笑顔を向けながらも、すぐ「ナチュラルでいいよ」、優しくフォローしてくれる。でも、気持ちはスッキリしない。

やっぱり、一度化粧をしてる顔を見てるから、分かるよね。高校生の時とは、やっぱ肌の質感も違うよね。

色々思うけど……今更、どうにもならない。とりあえず申し訳程度に前髪を直して「安吾は」、リベンジを試みる。

「変わらないね。でも髪型がちょっとだけ、カッコよくなった」

「ちょっと? 褒められてる気がしないな。もしかして仕返ししてる?」

「んー、少し」

意地悪く口角を上げてみせると「ごめん」、苦笑いを向けて――「お腹、空いてる?」、メニューを手渡してくれた。