「クズだね、マジで」

悠真との恋愛遍歴ダイジェストを改めて聞いた亜栖未(あすみ)は、私の隣に立ったまま、小さな声で呟く。

亜栖未とは出会って2年と少しだけど、悠真の話をする度に、彼をクズ呼ばわりする。

出会った頃は、ちょうど悠真と別れて4回目のとき。

でもすぐヨリを戻したものだから、何でまた付き合うの? クズじゃん、とものすごく驚いていた。

思えば、その時が初めての、クズ、発言だった。

今は別れたって話をしてるから、まだ譲るけど。

付き合ってる時ですら、いつクズと別れるの? と言うようになったから困った。

確かに良い彼氏とは言えないし、今回のことにしても、亜栖未は私以上に怒って心配してくれている。

それはすごくありがたい、のだけど。

「ガチクズ。私なら10年も付き合わないね」

「もうちょっとで11年なんだけど……」

「付き合ってない期間がトータルで、1年ぐらいあるじゃん」

私のどうでもいい呟きを、鋭い指摘で()いで「高校は違うんだよね」、矛先を変える。

「予備校で知り合ったんだっけ?」

「そう」

「偏差値高いんでしょ? クズのくせに」

どこだかのガキ大将が言いそうなセリフを言ったあと「まあ、かなり良く見えるよね。イケメンで、偏差値高いと」、瞼を重くした。

「でも、クズはクズだから。もうこれで終わりだよ。ヨリを戻したらダメだからね」

「……だよね」

なんとなく亜栖未の勢いに負けて呟いたとき、目の前にお客さんが通り過ぎる。

同時に私たちは口を噤んで、通り過ぎるのを待った。